顧客ロックイン戦略(Lock-In Strategy)
顧客との関係を強化して囲い込み(ロックイン)して、商品・サービスの継続的な利用を引き出す戦略。
「継続利用の方が得」という状況を作る
顧客から継続購入を引き出すために、企業は様々な方法で、乗り換えを防ぐ。これが顧客ロックイン戦略。その手法には7つある。
①インティマシー・ロックインとは、親密さ(インティマシー)を利用して継続利用を引き出す方法。
②メンバーシップ・ロックインは、会員だけの特典やポイント制度を用意して、継続利用を促す方法。
③コンビニエンス・ロックインは、利便性に慣れさせ、乗り換えたい気持ちを起こさせない方法。
④ブランド・ロックインは、販売実績やイメージ戦略によって「日用雑貨ならとりあえず無印良品を見てみる」のような固定観念を市場常に植えつける方法。
⑤ラーニング・ロックインでは、顧客との関係づくりに学習要素を盛り込むことで、顧客への理解を深め、同時に顧客が乗り換えを億劫に感じる方法をとる。
⑥コミュニティ・ロックインは、主にユーザのコミュニティを盛り上げるなどして、情報交換のメリットを増やすことがそのポイント。
⑦シリーズ・ロックインは、「続き」を出すことで、「次も欲しい」「コンプリートしたい」という気持ちを引き出し、継続購入につなげる。
ロックインの背景にある3つのポイント
ロックイン戦略を機能させるカギは次の3つ。
①顧客の将来コストを下げる、②サンクコストを意識させる、③ネットワーク外部性を拡大する。
①は「別の商品を探すのは面倒」と感じさせることで、購入につなげる。例えば、デジタルカメラは、メーカーによって操作方法の要領が異なるため、「また新しい操作方法覚えるなら同じメーカーで新機種を買おう」となる。
②のサンクコストとは、投資したのに期待通りの効果が出ず、回収できていない費用のこと。「ここまでポイント貯まったし」「いまから他の製品の使い方を勉強するのもなあ」と思わせ、それまでに費やした費用を意識させることに成功すると、継続利用につながる。
③のネットワーク外部生とは、利用者が多いほど利便性が高まる現象のこと。windowsは利用者が多いおかげで周辺機器も豊富だし、分からない時にも情報を得やすい。「だからwindowsのパソコンにした」という人も多いはず。そこには「勝ち馬に乗りたい」という心理(バンドワゴン効果)も働いている。
要するに
●継続利用の方がメリットがある、という状況を作り出して顧客を囲い込む戦略。
●将来のコストを減らし、サンクコストを意識させ、ネットワーク外部性を拡大することで、顧客はロックインされていく。