カンパニー制 事業分野ごとに経営資源を完結させて独立性を高める

カンパニー制(Company System)

事業分野ごとの組織(カンパニー)に高い独立性を与える社内統制制度。各カンパニーは採算性を確保し、市場淘汰に耐えることが求められる。

部門ごとの裁量を高めてフットワークを上げる

企業は市場の変化に柔軟に対応しながら、組織全体としてノウハウや収益力を高め、成長していく必要がある。迅速に意思決定を下せることや無駄をなくし採算性を高める強い意識、常に成長し続けようというマインドを現場に根付かせていくことは、組織が大きくなるほど、経営陣にとって重要な課題となる。

そこで、事業分野ごとに採算に責任を持つ形をとることで、全体として競争力をあげようという発想が生まれた。これが事業部制の始まりだ。事業部制では、業種や担当エリアなどで事業を分類し、それぞれに進出・撤退の判断や人材育成を任せる方針を取る。その結果、柔軟な多角化も期待できる。

一方、事業部門間で利害が対立したり、営業・管理などでコストの重複があるなど無駄が多くなりやすいという欠点もある。日本ではパナソニックが1933年に初めて導入。その後、一旦廃止したが、2013年、カンパニー制に近い形で復活させた。

さらに高い独立性を事業分野ごとに与える

カンパニー制は、事業部制をさらに推し進めた制度、各事業を担当するカンパニーは、あたかも独立起業のように振る舞い、より厳しい市場原理に晒される。カンパニーには擬似資本金が与えられ、決算書の作成が求められる。無駄を廃し、競争に自力で生き残ることが求められる。

日立製作所は、2009年に8000億円近い赤字を計上したが、その後、カンパニー制を導入しV字回復を実現させた。オリンパスも経営改革の一環として、2001年からカンパニー制を導入。事業の自立性を高め、市場に適合させるプレッシャーを現場にかけていくには、向いている制度と言えるだろう。

一方、独立採算を求めるあまり、企業としての意思が統一されづらくなるといったデメリットもある。経営資源の投下が重複するので資本効率が下がる弊害もある。カンパニー制はソニーが1994年に始めて話題となったが、その後同社はこれを廃止し、事業部制に戻している。

NECや富士ゼロックも経営スリム化のためにカンパニー制を廃止した。東芝の不適切会計もカンパニー制によって縦割りが進み、それぞれが独自の文化を持つまでに至ったせいで、本社が事業部門ごとの内部統制を掌握しきれなかったことに原因があるとの指摘がある。

従来の企業組織から進化したカンパニー制度

●従来の企業組織
トップが事業の方針を決定

(課題)
・組織が大きいと意思決定が遅くなる
・理念や意識を共有することが難しい
・上層部から現場の状況が見えづらい

●事業部制の組織
権限を移譲し事業の方針は事業部長が決定(意思決定は事業部ごとに行う)

(利点)
・複数の事業を多角的に展開できる
・豊富な人材を育て、揃えられる

(課題)
・事業部間で対立が起きやすい
・管理部門などの人員が重複してコストが増えがち
・事業内容や販売エリアが重なって無駄を生むことも

●カンパニー制の組織
擬似資本金を配布、カンパニー長が方針を決定(各カンパニーを会社に見立ててさらに独立させる)

(特徴)
・各カンパニーで決算書を作成するため、事業の成果(採算)が厳しく問われる
・株主への業績説明はカンパニー長が行う
・独立採算で事業が鍛えられ、会社全体としての総合力が高まる

要するに

●事業分野ごとの組織を「カンパニー」と呼び、広い裁量を与える代わりに、独立採算を求める社内統制の方法

●全体として意思統一が図りづらくなる、資本効率が下がるといった弊害もあり、企業によって向き不向きがある。

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