TOC(制約条件の理論) 全体の処理能力を成約する条件を改善し、生産能力の向上を狙う 

TOC(theTheoryofConstraints)

組織が目標を達成するための制約条件(ボトルネック)を集中的に管理改善することで全体の生産性を高める手法のこと。

兵隊の速度は一番遅い兵士のスピードで決まる

TCOを提唱したのはイスラエルの物理学者エリヤフ・M・ゴールドラット博士。同氏が1984年に出版した「ザ・ゴール」は世界的なベストセラーにもなった。TOCの根底にある理念は「制約条件のある工程が存在する限り、他の工程をどんなに効率化させても、全体の工程の生産性は向上しない。制約条件のある工程を改善しないと、組織の目標を達成できない」という考えだ。

ここでいう制約条件とは、商品やサービスの質を限定してしまう阻害要因を指す。つまり「足を引っ張る」部分。これをボトルネックと呼ぶ。

例えば、兵隊が行進するとき、一番遅い兵士のスピードよりも全体のスピードが速くなることはない。他の兵士がどんなにスピードをあげても、一番遅い兵士のところで詰まってしまうからだ。もし全体のスピードを上げたいなら、一番遅い兵士(制約条件)がスピードアップして歩けるように工夫するしかない。

制約条件を特定して性能向上を図る

リーン・マネジメント(LM)とTOCは、いずれも生産性の効率化を図る手法。どちらも最終成果物を提供する顧客の価値を重視しつつ、組織の外部環境の変化への対応力を向上させる。両者の違いはその効果。LMは無駄を省くことが目的のため、製造コストの引き下げにつながることが多い。一方TOCは全体の処理能力を制約する条件の改善を目的とするため、生産能力が向上することが多い。

TOCを導入して成功したのがアパレルメーカーのグンゼだ。グンゼと言えば靴下や肌着で有名だが、カメラや医療用機器に活用されるタッチパネルを商品化している。タッチパネルの製造工程は複雑なため、工程ごとに生産効率を追求しても、過剰な仕掛品(製造工程にある製品)の在庫を解消できなかった。そこでTOCにもとづき、ボトルネックを特定。そこを重点的に管理することで、工程間の処理時間の不均衡を是正した。その結果、リードタイムは約1/5にまで短縮。しかも仕掛品の在庫を大幅に削減することに成功したのだ。

その他の導入事例では、スイスの重電工業メーカーのABBや航空機メーカーのボーイングがある。また、国土交通省が公共事業者からの質問に、1日以内に回答する取り組みもTOCの一例だ。

●ボトルネックの生産性向上が全体のカギを握る!

ようするに

●足を引っ張る工程がある限り、他の工程でどんなに頑張っても全体の生産性は向上しない。
●制約条件となっている工程の処理能力が最大になるように工夫する。

ただし!

通常、工場のボトルネックは分析などしなくても、現場を管理していればどこに問題があるか分かっているもの。だからボトルネックを改善して生産性を向上させようとする時、製造工程中のボトルネックの分析が出来ないという、ところが問題なのではない。

それよりも、現場から提案されるボトルネックの改善案に対して経営陣上層部が真剣に対応するかどうかの方が問題であることが多い。また、通常、製造現場のボトルネック解消には費用がかかるので、資金管理という点でそこにコストをかける決断ができるかどうかという各企業の事情もある。

だから、ボトルネック解消は組織上層部のやる・やらないの決断が問題となるケースが多い。

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