川上統合 資材や部品の調達を自社で行い優位性を確保する

川上統合(Backward Vertical Integration)

自社の事業領域を上流工程に向かって拡大し、内製化を進めること。

製品の資材・部品も自社で押さえる

バリューチェーンの一部を外部委託する手法に対して反対のモデルとなる垂直統合。垂直統合とは、バリューチェーンで自社の活動範囲を広げることを言う。

垂直統合には川上統合と川下統合がある。開発企画→生産→販売という流れのうち、自社の事業領域を基準にして、開発企画に近い方へ進出するのが川上統合。販売方向に進出するのが川下統合だ。

川上統合は川下統合より比較的採用しやすい戦略だ。川上の事業領域で生まれる製品は、自社の本来の事業で使用されるため、新たな販売先の確保が必要ないからだ。

川上統合の狙いは、原材料や部品の調達を安定させること。自社製品の部品製造工程の外注をやめて自社事業に統合すれば、部品の調達の確実度は増す。品質も自社で管理できる。

また、部品が競合他社へ渡ることがなくなり、製品に関わる多くの技術やノウハウの流出を防ぐことができる。

川上統合水平分業を上手に使い分ける必要

一方、デメリットは事業のリスクが高まること。例えば、川上に進出することで新たに設備投資や人員確保が必要となる。こうした固定資産は、環境変化への対応の足かせになり得る。日本の家電業界が苦戦したのも、製品価格の急落に対応できず、工場など多額の設備投資を十分に回収できなかったのが一因だ。

川上統合で成功した代表例はYKKだ。YKKは本来ファスナー製造が事業領域だったが、ファスナーの部品製造事業を川上統合。部品から製品までを自社の事業領域とすることで、ファスナー製造のノウハウが外部に漏れる事が無くなった。世界シェアの約半分を握る強さの源泉だ。

また、スターバックスも川上統合を展開し始めている。同社は各店舗でコーヒーを販売するのが本来の事業領域。だが、コーヒー豆の栽培地に進出し、コーヒーの生産性と品質の向上支援。世界2万店以上の店舗に安定的にコーヒー豆を供給する体制を構築しつつある。

水平分業で成功するアップルも、生産工程の丸投げはしない。大量の切削加工機やレーザー加工機を自社で購入し、委託先に貸し出して使い方を指南する。「統合」ではないが川上に進出しているのだ。

今メーカーにとって、川上統合と水平分業という相反する戦略をどう使いこなすかが、課題になっている。

●川上統合で内製化を進めノウハウ・技術を守る

ようるすに!

●開発企画→生産→販売という流れのうち、自社の事業領域を基準にして、上流に向かって事業領域を広げる。
●資材や部品を自社で押さえることで、多くの技術やノウハウの流出を防止できる。

ただし!

川上統合は優秀な戦略であるが、資金面で大きなリスクがともなうので、体力のない企業では実施が難しい。これまでの取引先と競合することになるとトラブルになる。また、川上統合して自社で管理したばかりに原材料の品質が落ちて使えない原材料や部品が増えて主力製品の歩留まりが低下したり品質低下を招く場合もある。どんな場合でもそうであるが、ノウハウが分からないうちに安易に統合するのはリスクを伴うので注意深く進めるべきである。

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