ディファクトスタンダード 自社の優れた技術を「事実上」の業界標準にのし上げる

ディファクトスタンダード(De Facto Standard)

国内外の標準化機関が定める公的標準ではなく、市場競争の結果、事実上の標準とみなされることとなった製品の規格や仕様のこと。

市場トップの地位に立ち安定した利益を確保する

ディファクトスタンダードとは、事実上の標準となった仕様や製品の事。「それなしではビジネスができない」と誰もが思うようになったもののことだ。業界のディファクトスタンダードになると、安定的に需要を見込め、販売の安定性を確保できる。大量生産に踏み切ることも可能になり、コストダウンも容易となる。

ディファクトスタンダードを目指すには、まずはすぐれた技術を開発することが必要。他社の技術の方が明らかに優れている場合には、この戦略をとるのは難しい。

そしてその技術を積極的に公開する。情報が公開されていれば、その製品の周辺機器メーカーが、互換性のある商品を製造できるからだ。その結果、自社製品と併せて使える関連機器が増え、自社製品の売り上げはさらに増加するという好循環が生まれる。

ディファクトスタンダード誕生による消費者への恩恵は、安心して商品を購入できる点が大きい。高価な電気製品を購入しても、販売停止になれば、修理や消耗品の買換えなどが難しくなってしまう。だが、標準化した商品なら、同じ規格で大量生産されているので、値段が比較的安くなるうえ、様々なメーカーが出す豊富な種類から選ぶこともできる。電球、電池、ネジなどが何処でも安く手に入るのはそのおかげだ。ユーザーが増えることで生じるネットワーク効果も見逃せない。

公開しても追随できないほどの最先端を行く

自社製品や仕様をディファクトスタンダード化するには、競争を勝ち抜いてすぐれた技術を早く製品化する必要がある。航海技術を真似した競合相手とのさらに激しい競争にも勝利しなければならない。

そして一旦その地位に立てても、それが「事実上」の標準に過ぎない点も厳しい。たとえマーケットリーダー的存在になっても、逆転で標準の地位をうばわれることもある。

ベータ規格という仕様で家庭用VTRでリーダー的存在だったソニーは、パナソニックなど複数の連合チームにVHS規格の普及で逆転され、結局ソニーの技術は市場から消えた。

成功例はマブチモーターだ。同社は製品・技術の範囲を小型直流モータに絞り込んで最先端の技術を磨き、その内容を公開することで、同社製品と互換性のある製品の投入を促している。マイクロソフトのWindows OSやソニーのブルーレイも好例だ。

●ディファクトスタンダードの地位は非常に有利
ネットワーク外部性(ネットワーク効果)が発生し、ますます市場は拡大・安定する。

(利点)
・互換性のある関連製品が多いので、こちらに乗り換える顧客が増える
・マーケティングの労力やコストを大きく削減できる
・次世代製品の提案を一手に担う立場となるため業務全体が効率化
・他社とのライセンス契約により市場の競争をコントロールできる

○様々なディファクトスタンダード
・Windows(OS)
・ワード・エクセル・パワーポイント(仕事用アプリケーション)
・Photoshop(画像処理ソフト)
・Intelのプロセッサ(パソコンのCPU)
・USBメモリ(データ保存)
・キーボード(文字配列)

要するに

●標準規格になれば安定した収益を確保することができるが、なれないと市場から撤退となることもある。

●標準規格を目指すなら、技術を公開して、他社にできるだけ互換性のある商品を作ってもらうことが重要。

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