ブランド拡張(ブランドエクステンション Brand Extension)
ある業種で培った経営資源(特にブランド)を使って多方面・多分野の業種に進出することにより、収益の成長を図ること。
ブランドは何度使っても原価は変わらない
ブランド拡張の代表例はディズニーだ。ディズニーはキャラクターのイメージや世界観を武器に、ディズニーランド、ディズニーホテル、ディズニーチャンネル、ランドセルなどのディズニーグッズとあらゆる分野で収益をあげている。
このモデルの狙いは、「ブランド」という経営資源を徹底的に活用すること。多くの分野に進出することで収益の成長を期待できるのだ。
また、多くの分野に収益の源泉を持つことで、特定の業界の不況や不調の影響からくる減収リスクを軽減できる。結果、経営が安定的になる。
ブランド拡張の最大の強みはコストの追加的負担がないこと。ブランドは無形資産であるため、何度使っても減ってしまう事はない。逆に弱みは、ブランド人気に移り変わりがある点。何かの不祥事でブランドイメージが傷つけば、大きな損害を被る恐れがある。
手数料が勝手に入る美味しいライセンス契約
ブランドを持つ企業にとって特に重要な収益となるのがライセンス契約だ。ライセンス契約とは、特許技術や商標などの知的財産権にライセンス料を支払い、ライセンス受託者のリスクで製品を生産する方式のこと。
製造・販売はライセンスを受けた側(ライセンシー)が行う為、ライセンスを持つ側(ライセンサー)は、グッズの製造コストが不要。加えて、グッズが売れると売上げの一部がライセンサーに手数料として入るという都合のよい仕組みになっている。
日本でも、このライセンス事業を含めてブランド拡張を進める企業は増加中だ。例えばハローキティを生んだサンリオは、キティのグッズ販売やテーマパークのほか、世界130カ国でライセンス事業を展開している。
また、スタジオジブリも映画のキャラクターを使った施設やグッズ販売を行う。最近では、ふなっしー、も注目だ。ゆるキャラブームの波に乗って、グッズ販売や音楽事業などにも展開している。
ちなみに、ブランド活用には、マルチブランドというモデルもある。これは、1つの業種で複数のブランドを展開する手法で、高い市場シェアを確保するのに有効だ。例えば、すかいらーくグループのジョナサンやバーミヤン、ゼンショーグループのすき家やはま寿司。ファーストリテイリングのユニクロとGUなど、多くの企業が実践している。
●ブランドが生きる市場を拡張させて収益を伸ばす
要するに
●ブランドの知名度を生かして、あらゆる分野でアグレッシブに儲ける
●特にライセンス契約を活用すると、開発コストを節約しながら、安定的な高い収益を得られる。