ドミナント戦略 店舗を密集させることで、地域ナンバーワンの地位を築く

ドミナント戦略(Dominant Strategy)

特定地域に集中して出店する事により、競合店が入り込みにくい状況を作り出し、エリアの需要を独占する経営戦略

セブンイレブンはなぜ群れるのか

東京都内では、狭い範囲内にセブンイレブンが複数あることはめずらしくない。道路の向こう側に、50メートル先に、いくつも店舗を見かけると、「効率が悪いな、もっと離れた場所に出店すれば良いのに」と思うかもしれない。しかし、これはドミナント戦略という経営手法の一つ。スターバックスやベビー子供用品の西松屋も採用している。

ドミナント戦略の特徴は、店舗を密集させることにより、競合店に付け入る隙を与えない「王国」を築くことにある。地域住民は、日常の中で頻繁に店舗目にするため「子供服といえば西松屋」「くつろいだ時間を過ごしたいときはスターバックス」というイメージが形成されやすい。

オペレーションにおけるメリットもある。商品や資材を運ぶトラックも少ない台数でエリアをカバーできる上に、短時間で効率よく店舗を回れる。在庫やスタッフについても、融通しあうことができる。

ドミナント戦略は、日常に根づいた商品を扱う企業、飲食業などのチェーン店に適している。こうした業界では、扱う商品の希少性や高級性より「すぐ買いに行ける」というのが店を選ぶ大きな動機になる。地域で圧倒的な存在となれば、消費者を失いにくい体制が自然と構築されるのだ。

「損して得をとる」大局的な視点が必要

ドミナント戦略は、言ってみれば共食いを招く種を自らまく手法。企業全体としての売上アップには繋がるものの、1店舗あたりの店舗効率はむしろ悪くなる可能性が高い。いわば、損して得をとるという戦略。小さな損に左右されず、常に企業全体としての成長を見るというスタンスを崩さないことが求められる。

このようなドミナント戦略は、フランチャイズには不向きだという見解もある。店のオーナーは、自分の店舗の売上を少しでもあげようとするからだ。

しかし、得られるメリットも大きい。集中出店により、競合店を排除できるだけでなく、店の認知度も上がり、「西口店の弁当が売り切れていたから、北口店の方ものぞいてみるか」といったニーズの受け皿になることもできる。消費者が分散されることにより、混雑や品切れが回避されれば、結果として店全体の評価もアップするわけだ。

ドミナント戦略は、一店舗だけではなし得ない価値創造や合理性の追求において優れた手法と言えるだろう。

地域に店舗を密集させ、商圏の隙間を作らない

●一般的な出店イメージ

(利点)
・店舗ごとの商圏が重ならず、カバー範囲が広くなる

(課題)
・商品の配送や広告の効率が悪い
・商圏の隙間をライバルにねらわれやすい
・ライバル店の客との客の取り合いで価格競争に巻き込まれやすい

●ドミナント戦略による出店

(利点)
・地域の各所で目撃することになるため、認知度が急速に上がる
・商圏の隙間がなく、ライバル店が進出しづらい
・地域の顧客を総ざらいできる(利用率向上につながる)
・商品の配送や広告の効率が上がる
・店舗間で在庫や店員の融通がしやすい(在庫の総量が圧縮できる)
・需要と供給のバランスがとりやすい
・価格競争が起こりにくく、価格をコントロールしやすい

(課題)
・商圏が重なる店舗同士で顧客食い合いが起こる
・店舗の売上をわざと落としているように感じられ、心理的抵抗がある
・店舗ごとの売上最大化戦略とは共存できない
・テリトリー意識の強いフランチャイズ経営者の活用には十分なフォローが必要

要するに

●ドミナント戦略は、店舗を密集させることによってスクラムを作り、競合店のない王国を意図的に築く経営手法。

●一店舗あたりの売上は減少するものの、地域にとってかかせない存在となれば、全体として安定した収益が見込める。

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