同質化戦略 トップ企業が下位企業の商品の類似品を出して地位を守る

同質化戦略(Homogenizing Strategy)

No.2以下の企業が出した新商品をリーダー企業が模倣し、差別性をつぶして自らの地位を防衛する経営戦略。

ブレンド茶にスポーツドリンク ヒット商品は模倣される

ブレンド茶の十六茶と爽健美茶。スポーツドリンクのポカリスエットとアクエリアス。市場にはよく似た商品が存在する。これは飲料業界のみならず、その他の食品、家電、自動車といった分野でも同じことが言える。

十六茶はアサヒ飲料、ポカリスエットは大塚製薬が「元祖」。爽健美茶とアクエリアスはどちらも飲料業界最大手、コカ・コーラの商品であり、対抗品とも呼ばれたりするが、要は模倣品である。

他社が新しいコンセプトの商品を出し、業界内での存在感を高めようとした時、トップ企業がその行く手を阻むように模倣品を出していく。飲料業界の場合、コカ・コーラは国内最大級の自動販売機ネットワークを持っており、街中の自販機にアクエリアスと爽健美茶を並べることができる。後発商品でも入手しやすいため、「こっちでもいいかな」と買ううちに味になじめば「こっちがいい」に消費者心理は変わっていく。

即席麺最大手の日清食品も、かつて「マネシタ電器」とまで言われた、松下電器(当時)も、この手法で業界トップの地位を防衛してきた。

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企業文化が育たず市場の反感を買うことも

先発品を出した企業にとって、需要の存在は証明されているため、トップ企業にとっては非常に低コスト、低リスクな戦略だ。ライバルの動きを常に把握し、適切なタイミングで同質化戦略を繰り返していけば、その地位は盤石なものになる。

ただし、同質化戦略を成功させるために、マーケットリーダーはどのような新商品が開発されても、すぐに後追いできる技術力を保持していなければならない。自らもトップの座に甘んじず、新商品を開発していく発想力がなければ、優れた人材は育たず、地位は危うくなるだろう。

また、同質化があまりに露骨であれば、消費者の反感を買い、新鮮味に乏しい商品であることを印象づける結果を招く。さらに開発企業から訴えられるケースもあり得る。以前、キリンビールは、アサヒビールの「スーパードライ」の模倣品を発売したものの、パッケージの類似点などを指摘され、訴訟となる。同質化戦略に失敗したキリンビールは業界トップの座から転落した。

「潰される前に潰せ」という体力に物を言わせた力業だが、他社の逆転を阻む手段としては有効なため、多くの企業が採用している。

●新商品には類似品で即座に対抗する

(課題)
・素早く類似商品をリリースする必要がある(幅広い研究開発体制の維持)
・企業文化として創造的な意識がが育ちにくい
・強引な同質化は市場から「傲慢」と不評を買うことも
・「二番煎じ」のイメージが定着すると顧客が離れていく
・根幹技術で先行していないと、やがてライバルに抜かれる恐れも

(利点)
・類似商品を次々出してライバル商品の威力を打ち消す=ライバルに差別化をさせない
・商品価値に差がでないので、やがて体力勝負に=業界トップが有利
→局地戦をしなければ、最終的には必ず勝てる。

要するに

●同質化戦略は、類似品を出しヒットのインパクトを鈍化させ、競合の独り勝ち状況を回避する経営戦略。

●トップ企業のみが取れる戦略だが、模倣のみでは、その地位から陥落するという本末転倒を招く。

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